知らないと損!キュービクルの法定耐用年数と実用耐用年数の違い
キュービクルとは、商業施設や病院、学校、工場などの安定した電力供給に欠かせない重要な機器を収めている金属製の箱です。
キュービクルの必要性などは理解していても、意外と「法定耐用年数」と「実用耐用年数」の違いや年数などまでは把握できていない方もいるのではないでしょうか。
それぞれの耐用年数を把握して適切なタイミングで更新や修理を行わないと、思わぬ停電や高額な修繕費につながるおそれもあります。
本記事では、それぞれの耐用年数の考え方やキュービクル内の機器ごとの耐用年数、そして長く使い続けるための具体的なポイントを解説します。
2026年4月に改定が決定しているトップランナー基準についても触れているので、ぜひ今後の参考にしてみてください。
目次
- キュービクルには2種類の耐用年数がある
- キュービクルに使われている電気機器ごとに耐用年数は異なる
- キュービクルを耐用年数まで長く使うためのポイント
- キュービクルのトップランナー基準改定も把握しておこう
- まとめ
キュービクルには2種類の耐用年数がある

キュービクルの耐用年数には「法定耐用年数」と「実用耐用年数」の2種類あります。
それぞれの耐用年数の違いを理解しておくことで、想定しているよりも長くキュービクルを使用できるケースがあるため参考にしてください。
法定耐用年数
キュービクルの法定耐用年数は、国によって15年と定められています。
これは、キュービクルが国税庁のまとめている「主な減価償却資産の耐用年数表」の中の「建物附属設備」の「電気設備(照明設備を含む)」のうち「その他のもの」に該当するためです。
引用元:主な減価償却資産の耐用年数表
法定耐用年数の15年を目安に、そのときのキュービクルの使用状況などを考慮した上で更新するかどうかを検討することが推奨されています。
ただし、工場にて製造装置の電源としてキュービクルが使用されている場合は「主な減価償却資産の耐用年数表」の「機械・装置」に分類され、業種ごとに定められている法定耐用年数が適用となるため、注意が必要です。
実用耐用年数
実用耐用年数は、法定耐用年数よりも少し長く15〜20年程度に設定されていることがほとんどです。
法定耐用年数が過ぎても、各設備に不具合などがなければ継続して使用できます。
そのため、法定耐用年数が過ぎたからといって慌てて新しく更新する必要はありません。
キュービクルに使われている電気機器ごとに耐用年数は異なる

キュービクルに使われている電気機器は、それぞれ法定耐用年数と実用耐用年数が異なります。
キュービクル自体に問題がなくても、使用されている電気機器が不具合を起こしている可能性もあるため注意が必要です。
主なキュービクルに使われている電気機器ごとの法定耐用年数と実用耐用年数をまとめたので、参考にしてみてください。
キュービクル内の機器名 | 法定耐用年数 | 実用耐用年数 |
変圧器 | 15年 | 20~25年 |
高圧気中負荷開閉器(PAS) | 15年 | 20年 |
高圧ケーブル | 15年 | 15~20年 |
ヒューズ(屋外) | 10年 | 10年 |
ヒューズ(屋内) | 15年 | 15年 |
高圧遮断器 | 15年 | 20年 |
断路器 | 15年 | 20年 |
高圧遮断器 | 15年 | 20年 |
高圧負荷開閉器 | 15年 | 20年 |
高圧カットアウト | 15年 | 20年 |
避雷器 | 15年 | 15~20年 |
計器用変成器 | 15年 | 20年 |
保護継電器 | 15年 | 20年 |
コンデンサ | 15年 | 15~20年 |
上記のように、どの電気機器も10~20年程度と長く使用できます。
初期費用が高額であっても、日頃からの保守管理を心がけることで、設置後長期間稼働できるのはキュービクルの魅力です。
キュービクルを耐用年数まで長く使うためのポイント

キュービクルは、決して安いものではありません。
設置する施設の規模にもよりますが、安くても100~200万円、高額になると1000万円を超えるケースもあります。
そのため、故障したからすぐに新しいものと交換するようなことは現実的に考えると難しいものです。
キュービクルを設置するのであれば、ぜひ耐用年数まで長く使えるように以下の3つのポイントを心がけてみてください。
ポイント①定期的な清掃や早めにメンテナンスを行う
キュービクルの定期的な清掃や早めのメンテナンスを心がけましょう。
定期的に清掃することで、キュービクルの異変などに気づけるケースも少なくありません。
また、劣化している部品や故障の兆候が見られる部品などは、後回しにせずに早急に交換をすることも大切です。
ポイント
特に、15年以上稼働しているキュービクル内の機器に使用されている部品は手配が困難な場合があります。
万が一、部品が手配できない場合は、停電期間が発生する可能性があり施設の運営に関わってくるため注意が必要です。
少しでも気になる部分が見られる場合は、担当業者に連絡をして早めに手配してもらいましょう。

キュービクル内部の清掃は感電のリスクがあるため、自己判断で行うのは危険です。
無理をせず、キュービクルの専門業者に依頼することをおすすめします。
ポイント②月次点検及び年次点検を行う
キュービクルは、電気事業法により月1回程度の月次点検及び、年1回の一斉停電が必要な大規模な年次点検が義務付けられています。
月次点検と年次点検の違い
- 月次点検:無停電による、キュービクルの外観や受電設備などの目視確認や異音、異臭、異常な発熱などを点検します。
- 年次点検:感電事故を防ぐために建物を停電させて、月次点検よりも詳細な点検を試験機で行います。
キュービクルの月次点検と年次点検を怠ると、停電や波及事故などが起こり人命にかかわるリスクが高まります。
変換効率が低くなってしまう場合もあり、電気料金が大幅に高額になる場合もあるため、注意が必要です。
また、電気事業法に基づく罰則により罰金や懲役が科せられるケースもあります。
第九章 罰則
第百十五条 電気事業の用に供する電気工作物を損壊し、その他電気事業の用に供する電気工作物の機能に障害を与えて発電、蓄電、変電、送電又は配電を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
これらのことを踏まえて、キュービクルの月次点検と年次点検は欠かさず実施しましょう。
ポイント③キュービクルの箱に劣化の兆候が見られたらすぐに対応する
キュービクルの箱に劣化の兆候が見られたら、月次点検や年次点検を待たずにすぐに対応しましょう。
例えば、キュービクルの塗装です。
塗装が剥がれてしまうと、サビや腐食によりキュービクルから内部に雨水やごみなどが侵入しやすくなってしまいます。
腐食が進み穴が空いてしまった際、ネズミのような小動物が侵入して内部機器をかじられて故障するといったケースも考えられます。
キュービクルの外側だから問題ないだろうといった考えによって放置しておくと、想定よりも重大なトラブルを招く場合があるため注意してください。

特に、塩害が想定されている地域に設置されているキュービクルは、錆などの劣化が進みやすいため日頃からのチェックを心がけましょう。
キュービクルのトップランナー基準改定も把握しておこう

2026年4月1日に、変圧器のトップランナー基準が改定されることが決定しています。
政府が掲げている「2050年カーボンニュートラル」の目標が基準改定の背景にあり、今後現在普及している「トップランナー変圧器2014」は生産が終了していく流れです。

変圧器のサイズも変わるため、外箱であるキュービルの更新も同時に行う必要があります。
徐々に部品の製造も終了していくため、変圧器の不具合などが起こったときに確実に修理ができるとは言い切れません。
今すぐ新基準の変圧器に更新する義務はありませんが、不具合が起こった際に変圧器が手配できず停電期間が生まれてしまう可能性があります。
いざというときに慌てないように、新しいトップランナー基準の内容を確認したり見積もりを取ったりなど準備しておきましょう。
トップランナー基準改訂については、こちらも併せてご覧ください。
まとめ

キュービクルは、法定耐用年数の15年を基準に、実用年数である15~20年を目安に更新するのが一般的です。
しかし、点検やメンテナンスなどを怠ってしまうと、異変に気が付くのが遅くなり早い段階で稼働できなくなる可能性もゼロではありません。
キュービクル内の機器ごとにも耐用年数は異なり、トラブルが起こると電気が使えなくなる期間が発生するため注意が必要です。
当社WILLPROCEEDでは、キュービクルの点検やメンテナンス、更新までトータルでサポートしています。
商業施設や高齢者施設、病院、学校など、幅広くご対応している実績もあるため、初めてご依頼をご検討する場合もスムーズにご対応可能です。
また、キュービクルに関しては2026年4月1日に施工される新しいトップランナー基準についても理解を深めておきましょう。

現在稼働中の旧基準のキュービクルは製造中止となり、徐々に修理やメンテナンス、更新ができなくなります。
新基準のキュービクルの駆け込み需要が高まる前に、WILLPROCEED担当者と更新時期のご検討やお見積りを取るなど準備を始めていきましょう。
投稿者プロフィール

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株式会社WILLPROCEEDのWEB担当者。
非常用発電機の点検・負荷試験、キュービクルの設置、ご家庭のガス・電気の光熱費削減などをご提案します。
役立つブログや社内イベントなども更新!
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